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「隣、並んでいい?」
私が真っ赤な顔で頷くと、
先輩は後ろ向きで
出っ張りに手をつき、
ぴょん、と跳ねて座った。
「ここからだとよく見えるでしょ。
あまり人が来ないから、落ち着けるし」
先輩が指さす方を見ると、
キャンプファイアの櫓が
しっかり見えた。
「一緒に、見てくれるよね」
先輩はわたしの手を取り、
優しく握った。
薄暗くなって来た校庭に、
ぽつり、ぽつりと外灯が灯り始め、
その光を反射した先輩の
美しい目が輝きを増している。
――ずっと遠くから見ていた
先輩の顔が、こんなに近くに……。
瞳のキラキラに見とれていると、
――突然、頭上のスピーカーから
音楽が流れ始めた。
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