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「あ……」
予想もしていなかったこの状況に、驚いて目を見開いた私の瞳から涙が零れ落ちる。
「開けてみてよ。」
「うん……」
震える指先で、綺麗にラッピングされたリボンをほどいていく。
箱の中の小さなケースを開けると、雑誌で見たあの指輪が、まるで星屑のようにキラリと煌めいてそこに収まっていた。
「……ハヤト……これ……」
「言っただろ?いい子にしてたら、サンタクロースがプレゼントしてくれるって。」
「……ハヤト……私っ……」
言い終わらないうちに、視界が遮られる。
ハヤトは冷えた唇で、強引に私の唇を塞いだ。
背中に回されたハヤトの両手も冷え切っていて、コートの上からでも冷たさが伝わってくる。
唇を離すと、ハヤトは覆い被さるように私をぎゅっと抱き締めた。
冷たくなったハヤトの鼻先が私の首筋にあたって、ぴく、と体が小さくはねる。
「……冷たいよ、ハヤト……」
「……」
「ね、離して。とにかく早く中に……」
「やだ。」
「え?」
「俺のこと疑った罰。ユキナさんが俺のこと温めてよ。」
「ごめんなさい……私、自信がなかったの……ハヤトが好きでいてくれるかどうか、分からなくて……」
「そんなの言わなくてもわかるだろ……」
ふてくされた顔でそう言うと、ハヤトは、ぼそっと呟いた。
「……この指輪買うために、どれだけ逢いたいの我慢したと思ってるんだよ……」
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