248人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「これ……」
サインを終えた伝票を手渡そうと差し出すと、
ハヤトは伝票を受け取りながらわざと私の手に指先を重ねてきた。
「っ……」
カアッと赤くなった私に、ハヤトは内緒話をするみたいに声を潜めて囁く。
(……ちょっとだけ、充電させて……)
久し振りに触れたハヤトの指は、この前と同じように冷たいのに、
触れられた私の指は、じんじんと熱くなっていく。
数秒間経って、ハヤトの手が私から離された。
(またね、ユキナさん。)
小さく囁いてからハヤトは、
「それじゃ、失礼します。」
仕事用の笑顔を浮かべて、オフィスを出て行ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!