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振り返ったハヤトは、彼女を見て親しげな笑顔をみせる。
「愛子ちゃん、どうしたの?さっきの荷物なら、もう車に積んじゃったけど……」
「やーん、ハヤトくん冷たい。仕事抜けてハヤトくんのこと追いかけてきたのにー。」
「仕事さぼってまで、俺に何の用事?」
「ふふ、今度こそハヤトくんにデートしてもらおうと思って。」
そう言って彼女は、上目遣いでハヤトを見上げた。
「ハヤトくん、誘っても全然会ってくれないんだもん。
ねえ、イブの日は暇?クリスマスパーティーがあるんだけど、一緒に行ってくれない?」
甘えるように彼女が、ハヤトの腕に自分の腕を絡める。
ハヤトはそれをそっと振りほどくと、にっこりと微笑んで言った。
「ごめんね、愛子ちゃん。俺、クリスマスイブは予定入ってるから。」
……え?
聞こえてきたセリフに、体がピクリと反応する。
「えーっ、それって仕事?プライベート?」
「仕事もプライベートも両方。」
「……つまんないの……」
彼女は面白くなそうな顔をして、ハヤトから離れて行ってしまった。
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