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マンションのエレベーターが私の部屋の階で停まる。
自分の部屋に向かって共用の廊下を歩いていた私は、ピタリと立ち止まった。
「……ハヤト?」
……うそ……何でいるの……。
私の部屋の玄関の横にハヤトの姿を見つけて、ドクンと心臓が跳ね上がる。
ハヤトはサンタ帽を被って、マフラーに顔をうずめるようにして立っていた。
私に気づくと、ハヤトはちょっと不満そうに声をあげる。
「遅いよ、ユキナさん。」
「……」
「マジで、寒くて凍りつくかと思った。」
「……」
「おーい、ユキナさん。聞いてる?」
「……どうして……」
「え?」
「どうして、ここにいるの?他の女の子と会ってるんじゃ……」
「は?そんなわけないだろ。ユキナさんがいるのに……」
「だってっ……ハヤト、何も言ってくれなかったじゃない。
クリスマスイブに会いたいとも、会おうとも……。
それに、私の前でバイトの依頼を受けてたでしょ?
だから私、ハヤトはクリスマスイブに私と会うつもりなんてないんだ、て思って……」
「バイトを入れたのは、ユキナさんも昼間は仕事で会えないと思ったからだよ。」
「でもっ、ハヤト最近全然会ってくれなくて……私、すごく寂しくて……」
「ユキナさん……」
ハヤトは、ポケットから小さな箱を取り出すと、す、と私の前に差し出した。
「……これ、」
「……な…に……」
「……サンタクロースからお届け物……」
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