冷たいサンタクロース

19/21
前へ
/23ページ
次へ
「あ……」 予想もしていなかったこの状況に、驚いて目を見開いた私の瞳から涙が零れ落ちる。 「開けてみてよ。」 「うん……」 震える指先で、綺麗にラッピングされたリボンをほどいていく。 箱の中の小さなケースを開けると、雑誌で見たあの指輪が、まるで星屑のようにキラリと煌めいてそこに収まっていた。 「……ハヤト……これ……」 「言っただろ?いい子にしてたら、サンタクロースがプレゼントしてくれるって。」 「……ハヤト……私っ……」 言い終わらないうちに、視界が遮られる。 ハヤトは冷えた唇で、強引に私の唇を塞いだ。 背中に回されたハヤトの両手も冷え切っていて、コートの上からでも冷たさが伝わってくる。 唇を離すと、ハヤトは覆い被さるように私をぎゅっと抱き締めた。 冷たくなったハヤトの鼻先が私の首筋にあたって、ぴく、と体が小さくはねる。 「……冷たいよ、ハヤト……」 「……」 「ね、離して。とにかく早く中に……」 「やだ。」 「え?」 「俺のこと疑った罰。ユキナさんが俺のこと温めてよ。」 「ごめんなさい……私、自信がなかったの……ハヤトが好きでいてくれるかどうか、分からなくて……」 「そんなの言わなくてもわかるだろ……」 ふてくされた顔でそう言うと、ハヤトは、ぼそっと呟いた。 「……この指輪買うために、どれだけ逢いたいの我慢したと思ってるんだよ……」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

251人が本棚に入れています
本棚に追加