冷たいサンタクロース

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……ハヤト……だから急にバイトをたくさん入れてたの? 私にこの指輪をプレゼントしてくれるために……。 じわりと愛おしさがこみ上げてきて、私はハヤトの首の後ろに手を回した。 背伸びをして冷たい唇にキスをしてから、耳元にそっと顔を寄せる。 「……いいよ……温めてあげる……」 「っ……」 「大好き、ハヤト……」 ずっと言えなかった素直な気持ちが、するりと口から零れ落ちる。 ハヤトは驚いたような顔を見せたあと、ふ、と小さく笑って言った。 「初めてだね。ユキナさんが、そんな風にストレートに気持ち見せてくれるの。」 「うん……」 「嬉しいよ。メチャメチャ嬉しい。」 ハヤトは私の手からプレゼントの箱を奪うと、指輪を取り出して私の右手の薬指にそれをはめる。 「ん……思った通り似合ってる……」 私の手を下から支えるようにして、親指で指輪をするりと撫でると、ハヤトは満足そうな声で呟いた。 「……これで、ちょっとは安心できるな……」 「え……」 「いつも他の男に狙われるんじゃないかって、ヒヤヒヤしてたんだ。 俺のものって印、ちゃんと毎日付けてってよ。」
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