冷たいサンタクロース

21/21
前へ
/23ページ
次へ
私とハヤトは、手を繋いだまま、玄関のドアを開けて中に入った。 「どれくらい待ってたの?」 「ん、と……1時間くらい……」 「そんなにっ……。 待ってて。今、すぐにお風呂沸かすから。 あ、何か温かい物飲んだ方がいいよ。 コーヒーか紅茶か、それともココアとか……」 「いらない。」 「え、でも……」 「だってユキナさんが、温めてくれるんでしょ。」 「っ……」 ぼぼぼ、と真っ赤になった私の頬を、ハヤトは冷えた両手で挟んで上を向かせた。 ハヤトの冷たい唇が、私の唇をちゅ、と吸い上げる。 「んっ……」 「……すげー逢いたかった……ユキナさん……」 「っ……はぁ……」 キスが深くなるにつれて、ハヤトの唇も息も熱を帯びてくる。 ガクッと膝が崩れ落ちた私を支えると、ハヤトはニヤリと笑って言った。 「あーやっぱ、ダメだわ。身体が完全に冷えてる。ユキナさん、一緒にお風呂入ろ。」 「!……い、一緒には私っ……」 「温めてくれるんじゃなかったの?」 「それはそのっ、でも……」 「恥ずかしい?」 「……うん……」 「仕方ないな。じゃあ、いいよ……」 イジワルな笑みを浮かべると、ハヤトは私の耳元に顔を近づけて囁いた。 「……お風呂から出たら、ちゃんと温めてよ?」 「っ……」 「はは、真っ赤。可愛いー、ユキナさん。」 ハヤトは愛おしそうに私の頬を撫でると、もう一度引き寄せて言った。 「……俺、まだ言ってなかったよね。 メリークリスマス、ユキナさん。」 「……メリークリスマス……」 私もハヤトの背中に手を回して、ぎゅっと抱き締める。 「……好きだよ……ユキナさん……」 頭の上から、照れたようなハヤトの声が降って聞こえてきた。 END
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

251人が本棚に入れています
本棚に追加