第5話

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『あのさぁ、』 「…な、なによ?」 いきなり、喋り出した彼の声に、《あたり》が出ていた事がバレタのかと、ビクッと美海はしたのだが、冷静を装いながら答えた。 私の声が少し上ずったことに気付かぬ素振りで彼は言葉を続けた。 『お前の、名前聞いてなかったから教えて!それ位なら、いいだろ?』 「あっ、あなたは?人に名前を聞く時は、自分がまず名乗るものなんだからっ…」 彼は、私を見ながらクスリッと笑みを浮かべて答えた。 『俺は、陵!』 「…わ、たしは、…月島美海。」 何で彼が自分の名前を名乗る前に、自分を見て笑ったのか分からない。 『…お前さぁ~』 私に話しかけながら、陵は勢いよく川に向かって走り出し、手に持っていた小石を投げながら叫んで言った。 『~男に免疫ないだろぉぉ~?』 …なっ!! 陵の投げた石は、3回川の表面をとび跳ねた。 絶句だった。 思ってもいない言葉を突然投げかけられた。 「~かっ、関係ないでしょ!何なのよっ。」 ボッと赤面しながら陵から目を逸らし、俯く。 『あはは!あげくっ素直なんだなぁ、美海は!』 「~ちょっ、呼び捨てにしないで!何かっ、文句でもあるわけ?誰にも迷惑掛けてないしっいいでしょ…別に。」 放っといて…ょ。 『~じゃあさ、この石が6回飛んだらさ~』 陵は拾った石を上に翳した後クスッと笑って、また川岸へ走り出した。 次は彼が何を言い出すのか少しあきれ顔で陵を見つめる 『俺と~~付きあってよ!』 「…えっ、は?ちょっ!?」 ~あり得ない!! 抵抗するまでもなく、陵の投げた石は水面を勢いよく水しぶきをあげて走り出していた。 『1・2・3~』 「ちょっとぉ~~!!まっ…」 うろたえる私にはお構いなしに陵は、少し口元を緩めながら数を数えていた。 ~嘘っ!? …何っ!!
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