14人が本棚に入れています
本棚に追加
短髪の彼に肩を借り、私達は家の中へと足を踏み入れた
家の中は見た目よりかなり狭く、部屋が1つしかない。
小さなキッチンとこの狭い部屋には似つかわしい大きなテーブルと6つの椅子。
みんな無言で家の中を見回す
外から見た時は普通の一軒家だったのに。
中に入ったら10畳程しかない。
「何この家‥壁がすごく厚い‥」
腕をさすりながら女の人はクリーム色の壁を触る
「ちょっと!何よこれ!?」
女の人の大きな声にみんな振り向いた
「ド、ドアが‥消えた‥」
入り口が、無い。
今入ってきたドアが無い
ドアがあった所には、クレヨンで書いた落書きのような茶色のドアの絵がある
ドアノブはドアの絵の飾りのように壁にくっ付いている
よく見ると窓も落書きの絵だ。
「なんだよ‥なんなんだよこの家‥」
眼鏡をかけた男の人は、椅子に座りテーブルに拳をぶつけ、顔を伏せる
と、
―――グゥン‥
奇妙な音が聞こえてきた
「な、なんだ今の音!」
――――グワーン――ワーン‥
耳鳴りのような、直接頭に響く不快な音が幾重にも重なり部屋中に響き渡る
「おい!とりあえず一ヶ所に固まろうぜ!」
短髪の男の人はドアの絵の前にみんなを集める
「おい!お前も来いよ!」
みんな集まったのに、眼鏡の男の人だけはテーブルを離れない
「どうしたんだよ!」
短髪の男の人はテーブルに近付き、眼鏡の男の人の肩をゆする
「目が‥目が‥こっち見てる‥」
眼鏡の男の人が見ている、テーブルの下に視線を下ろすと
「ひっ!?」
人の拳くらいはある大きさの、点描写のような目が二つ、こっちを見ている
―――グワーン‥
その目玉が壁を動くと耳鳴りのような不快な音も壁中を走る
「夢だよ‥夢。これは夢なんだよ‥」
眼鏡の男性はブツブツ呟きながら、椅子を立ち上がりキッチンへ向かう
シンクの下を開けると、中には何本ものナイフがギッシリ入っていた
最初のコメントを投稿しよう!