14人が本棚に入れています
本棚に追加
「戻る方法、他にも絶対あるよ!みんなで探そう?ね?」
私は絶望をかき消すように明るい声でみんなに声をかける
「そうね‥あなたにこんな事してしまって‥本当にごめんなさい」
女性は自分が着ていたシースルーの上着を細く破き、包帯の代わりに傷口に巻いてくれた
「大丈夫だよ、気にしないで‥」
包帯を巻いてくれてる女性を無言で睨んでいた、短髪の男性がふと声をかけてきた
「なぁ、なんでお前だけ血が出たんだ?」
そういえば
この家に閉じ込められる前は血が出たし、痛かった。
でも閉じ込められてから、彼女や、眼鏡の男性は血も痛みも無かった
「そうよね、おかしいわね‥あなただけは、この家の中でも血が流れてたわ‥」
「外で負った傷‥もしかしたら、砂利で転んだ時、地面に血が付いて、もしくは傷口に付いてた砂利が外と繋がってるんじゃないかな」
「よく分からないわ‥」
「俺も分かんねーよ。とりあえず一服する」
茶髪の男性はポケットから煙草とライターを取り出し、火をつける
煙草を吹かしながら部屋の中を歩き、私達と一番離れた壁に寄りかかった
その時
―――グワーン‥ワーン‥
不快な耳鳴りが鳴り響き、みんな耳を塞ぐ
「ぎゃあっ!!」
離れた所で声が聞こえ、短髪の男性が慌てて茶髪の男性が居た方へ近寄る
「うわーっ!!」
短髪の男性が尻餅をつき、後ずさる
「‥どうしたの‥‥ヒッ!?」
「キャーッ!」
私達も慌てて駆け寄ると、そこに居た‥いや、あったのは、元は人間だったのか疑いたくなるような塊だった
「腕も足も首も‥丸められてる‥」
「う‥おえっ‥」
女性は口元を押さえ、吐き気を必死でこらえる
「どうしてこんな事に‥!?アレ見て!!」
塊から目を逸らしふと、ある事に気が付いた。
「あの目濃くなってる!」
壁を不快な音と共に移動していた目が、最初見た時より濃く、しかも大きくなっている
最初のコメントを投稿しよう!