逃げられない

7/9
前へ
/9ページ
次へ
「戻る方法、他にも絶対あるよ!みんなで探そう?ね?」 私は絶望をかき消すように明るい声でみんなに声をかける 「そうね‥あなたにこんな事してしまって‥本当にごめんなさい」 女性は自分が着ていたシースルーの上着を細く破き、包帯の代わりに傷口に巻いてくれた 「大丈夫だよ、気にしないで‥」 包帯を巻いてくれてる女性を無言で睨んでいた、短髪の男性がふと声をかけてきた 「なぁ、なんでお前だけ血が出たんだ?」 そういえば この家に閉じ込められる前は血が出たし、痛かった。 でも閉じ込められてから、彼女や、眼鏡の男性は血も痛みも無かった 「そうよね、おかしいわね‥あなただけは、この家の中でも血が流れてたわ‥」 「外で負った傷‥もしかしたら、砂利で転んだ時、地面に血が付いて、もしくは傷口に付いてた砂利が外と繋がってるんじゃないかな」 「よく分からないわ‥」 「俺も分かんねーよ。とりあえず一服する」 茶髪の男性はポケットから煙草とライターを取り出し、火をつける 煙草を吹かしながら部屋の中を歩き、私達と一番離れた壁に寄りかかった その時 ―――グワーン‥ワーン‥ 不快な耳鳴りが鳴り響き、みんな耳を塞ぐ 「ぎゃあっ!!」 離れた所で声が聞こえ、短髪の男性が慌てて茶髪の男性が居た方へ近寄る 「うわーっ!!」 短髪の男性が尻餅をつき、後ずさる 「‥どうしたの‥‥ヒッ!?」 「キャーッ!」 私達も慌てて駆け寄ると、そこに居た‥いや、あったのは、元は人間だったのか疑いたくなるような塊だった 「腕も足も首も‥丸められてる‥」 「う‥おえっ‥」 女性は口元を押さえ、吐き気を必死でこらえる 「どうしてこんな事に‥!?アレ見て!!」 塊から目を逸らしふと、ある事に気が付いた。 「あの目濃くなってる!」 壁を不快な音と共に移動していた目が、最初見た時より濃く、しかも大きくなっている
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加