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「きっとあの目がこの悪夢の原拠なのよ!」
女性は近くにあったナイフを手に取り、大きな目めがけて走り出した
――――グワーン‥
目は壁の中を動き回り、女性のナイフから逃げる。
どうやらあの目は壁や床の中しか移動出来ないらしい。
女性が目を追いかけ、ドアの絵が描かれた所に追い詰める
私達も協力し、女性がじりじりと目に近付く
「消えろー!!」
女性がナイフを構え目玉に突進したその時―――
バタンっ
「‥えっ?」
女性が消えた
ドアが一瞬開き、女性が外へ投げ出された
「女の人、外に出て‥助かったの?」
いまだ信じられない目の前でドアが開いた事に、短髪の男性へ問いかける
「助かった‥んだよ、多分。‥俺たちどうすんだよ」
「私ね、ちょっと考えたんだけど、あの目玉は壁から出られないと思うの」
「ああ‥そういえば出て来ねーな。」
「でしょ?だから、壁ごと燃やしちゃえばどうかな」
危険な賭けになる。
彼は熱さを感じないかも知れないが、私は熱さを多分感じる。
それに、燃える物は赤い箱の紙くらいしかない。
一歩間違えれば一生出られなくなってしまう
短髪の男性は腕を組み、しばらく考えた後、意を決して同意してくれた
「でもライター無いぜ?」
私はコンロに走り寄り、火を付けようとしたが、カチカチ音がするだけで火が付かない
落胆していると、短髪の男性がいきなり走り出した
「おい!これ‥」
彼が持ってきたのは、もうフィルターまであと僅かになった火の付いた煙草だ。
私は急いで赤い箱の中から紙を出し、クシャクシャに丸め、描かれたドアの下に置く
「つけるぞ‥」
「うん」
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