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私の同意を得て、腕まくりをしてキッチンに立つ彼。
白く細い腕が、そこから爽やかに覗く。
……その背中に問いかけた。
――ねぇ軽蔑したんでしょ?
嫌いになったんでしょ?
見損なったんでしょ?
だったら、そう言ってよ!
普通にしないで……
普通に接しないでよ。
余計に惨めになってしまうわ!
こうして彼とキッチンに立つのは2度目だ。
初めて出会ったクリスマスの夜、私が料理に失敗して彼が作ってくれたグラタンの味。
……未だ、昨日のことのように覚えてる。
「あたしねー! 冷麺が食べたぁ~い」
居間へ移動した彼女に、「了解」と笑顔で答える彼。
冷麺なんて、私が手伝う程でもない気がする。
それに、何をどう手伝えばいいのか分からなくて、冷蔵庫の前で立ち尽くした。
……やっぱり気まずくて仕方がない。
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