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彼は手際よく、沸騰した鍋に麺をいれてほぐしていく……
その間に、まな板の上で綺麗に形を崩さず切られていく具材たち。
「氷、取ってくれます?」
「……ええ」
やっぱり、私が手伝う程でもないみたい。
そう思って、作って置いた氷を冷凍室から取り出す。
そして製氷皿に移して彼に手渡す。
パリンと、氷ならではの音が耳を掠めた。
「……ありがとうございます」
「きゃっ!」
それを手渡す時、一瞬だけ触れた感触。
……指先が軽く触れただけなに、ドキッと心臓が飛び跳ねて、持っていた製氷皿が落下する……
……待ってっ!
その氷がないとっっ!!
「お姉さん! 素手で受け止める気ですか?」
私の行動に素早く反応した彼。
腕を引かれて、氷が落下していくのを見送った。
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