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――確かに……。
相良先輩や、アリス佐伯や、
春山先生や、うちのお兄ちゃんや……。
いろんなひとのいろんな思いが
重なり合って、言葉が絡み合って、
――それがあったから私はこうして今、
田辺と二人乗りをしてるわけで。
それがなかったら、私たちは今でも、
単なる隣の席のクラスメイト、
だったわけで。
――これって、すごい事だよね。
だって、たとえ次の席替えで
席が離ればなれになったとしても。
私は、これからもずっとこうやって
田辺のお隣にいられるんだもん。
「夕めし、何食うー?」
田辺が自転車を漕ぎながら
半分振り返り、大きな声で聞いた。
「ぜったい、ラーメン!!」
私が即答すると、
「言うと思ったー!」
田辺が大きな声で、笑った。
自転車はどんどん速度を上げて、
周りの景色を吹き飛ばしていく。
私は怖がるふりをして、
大きな田辺の背中をさらにきつく、
ぎゅっと抱きしめた。
END
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