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「隔壁、閉じます」
兵士の1人が低いトーンで言う。……逃げられない。敵も味方も……。
「終わったな、さぁ、仲良くお陀仏といこうか」
司令官らしき人物がショットガンを持ち上げ銃口を天井に向けながら言う。相変わらずの冷静さだ。
「終わって無い!!」
司令官らしき人物の手を振りほどき、再びショットガンを構える。
「自爆を解除して、早く!!」
私が声を荒げても、誰も動こうとしない。当たり前と言えば当たり前なんだけど。だが……。
「あんたたちも死にたい訳じゃないでしょ!?生き延びたいでしょ!?こんなとこで自爆してなんになるの?」
こうなったなら私は止まらない。間違った道に進もうとするのなら、正しい道を導かねばならない。
「あんたたちは何の為に戦ってるの?国の為!?笑わせないで!!家族の為でしょ!!あんたたちの帰りを待ってる人がいるでしょ?待ってる人達が国の為の自爆して喜ぶと思ってんの!?」
……。……無言。誰も言葉を発しない。が、鼻を啜る音は聴こえるから沈黙ではない。
「俺は……俺は……うおぉぉぉ」
兵士の1人がコンソールを操作しようとディスプレイに走って近付いた。と同時に銃声。放った主は司令官らしき人物だった。
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