THE LONG DISTANCE OF MURDER

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「動くな!!我々は我が国の為に栄誉の戦死を遂げるのだ!!」  司令官らしき人物がハンドガンを(形状からみてデザートイーグルだ、良い銃使ってるじゃない)片手で構え、狙いを定めながら声を荒げた。銃口からは煙が立ち上っている。  放たれた弾丸は走った兵士の足下に着弾。床にめり込んでいる。命中はしなかったが故、負傷はしていないようだ。しかし、司令官のこの行為は私に火をつけた。(さっきで既についていたのだが、そこは気にしない方向でいこう) 「栄誉の戦死?そんなもの何になるの!!あんた、司令官なんでしょ?自分の考えを部下に押し付けてんじゃないわよ!!」 「残念だが私は司令官ではないただの代理だ……司令官は既に退避したよ……『要塞が陥落しそうになったら自爆しろ』って命令を下してな……。」 なんてこと……。私は奥歯を噛み締める。 「でも、あんたはその司令官と同じような事してんだよ?それでいいの?」 「……無駄だ、我々には自爆するしか無いのだよ!!」 「そんなこと無い!!だって」 「黙れ!!」  司令官らしき、否、司令官代理は叫びながら拳銃を放った。 「はぁ……はぁ……うぐっ……」  ああ、撃たれた。熱い。胸が熱い。血が流れ出るのが自分でもわかる……。 「貴様……何故……」  司令官代理は私を狙ってはいなかった。何故なら、コンソールに近付いた兵士がコンソールを操作しようと動いたからだ。その時、私は理性など働かせて居なかった。ただ、思うままに道を走っただけだ。結果、拳銃の真ん前に立つ形になり、胸をそれも左胸を撃たれたることになったのだ。 「何故だ!何故敵を庇った!?」 「はぁ……はぁ……敵?今はそんなん……関係ないでしょ……自爆する要塞に閉じこめられた複数の人間……でしょ……」  あぁ、言葉を発するだけで辛い。 「生き延びなきゃ……意味が……ないのよ、戦争なんて……」 「だが国の為……」 「戯け!!」  一瞬、場の空気が凍りつく。 「国とか関係ない!!生きなさいよ!!自爆なんて結局は生きる事から逃げてるだけでしょ!!」 私は力を振り絞ってそう言ったと同時に尻餅をついた。頭がクラクラしてきた。貧血の症状だ。ヤバいな……。
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