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ヒロは微笑みながら、楽しそうにアリアをじっと観察している。
アリアはマティーニを少し口に含んだが、辛すぎてむせ込んでしまった。
「これ、マティーニだけど、かなり辛口にしたでしょ!」
「無理をするな、自分に合うものを飲んだらいい」
ヒロは笑いを堪えながら、自分の前にマティーニを寄せた。
「お待たせしました、どうぞ」
バーテンダーがもう一つカクテルを運んできた。
「ヒロが頼んだのは」
「後でくる、先にどうぞ」
ヒロは微笑みながら、楽しそうにアリアをじっと観察している。
アリアはマティーニを少し口に含んだが、辛すぎてむせ込んでしまった。
「これ、マティーニだけど、かなり辛口にしたでしょ!」
「無理をするな、自分に合うものを飲んだらいい」
ヒロは笑いを堪えながら、自分の前にマティーニを寄せた。
「お待たせしました、どうぞ」
バーテンダーがもう一つカクテルを運んできた。
ワイングラスに、濃い琥珀色の液体が入っている。その上には生クリ―ムが注がれて、カクテル・ピンにチェリーを刺したものがグラスに渡して飾ってあった。
「お前にはオリーブは似合わない、エンジェル・チップの甘いチェリーがぴったりだ」
そう言ってヒロは悪戯っぽく微笑んだ。
ヒロの子供扱いに、アリアは嫌な気はしなかった。
「明日、東京へ帰ろうと思う」
アリアは何杯目かの甘いカクテルで酔いが回った頃、緊張しながらようやくそう切り出した。
ヒロは少し間をおいてから、寂しそうに、「そうか」とだけ言い、反対しなかった。
アリアは拍子抜けした。
ヒロの態度は普段より紳士的で優しかった。というより、元気がないようにアリアには思えた。
「今夜は楽しかった。久しぶりにゆっくりお前と飲めた……先に帰って寝ていろ、俺はもう少し飲んで帰る」
バーを出てエレベーターで階下へ降りる途中、ヒロは微笑みながらそう言った。五、六杯のカクテルを飲んでいたはずのヒロは、顔色も変わらず、全く酔っていなかった。
「一緒に行ってはだめなの?」
「女の子のいる店だ」
ヒロは悪戯っぽくそう言ってアリアをタクシーに乗せた後、一人飲み屋街へ姿を消した。
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