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「あぁ。死ぬのか、俺」
目の前に迫るトラック。辺りに響き渡る悲鳴
周りの景色は、まるで全てが止まっているかのようにゆっくりと動いていた
尚も思考が止まらない頭で、俺は今日のことを考える
大学受験を目前に控えていた今日。俺は、気分転換にと外へ出た
それがいけなかったのだ
交差点に飛び出た子供に迫るトラックを見て、慌てて助けに入った俺
その結果がこれだ。カッコワリィ
トラックがさらに迫る
もうすぐ死ぬというこの状況を理解しているのかしていないのか、恐怖の『き』の字も思い浮かばない
そう考えながらも、俺の目はしっかりとトラックを見ている
………さようなら。俺の人生…
体にトラックの冷たい感触を一瞬だけ感じとる。次の瞬間には、ドンッという鈍い音とともに、俺ははね飛ばされた
最後に見えたのは、晴天とは言いがたい曇り空
これは俺が命を落とした日
『前世』の俺の最期だった
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