59人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、生化学部で。」
「うん?」
俺の言葉に、来栖が首をかたげる。
「部活。生物と科学が混じって生化学部。まあ、生物や科学に掠ってるもんなら、何の活動してもいい部活なんだけど。」
俺らの部活、マイナーだからあまり知られてないんだよな。
「ふうん。そんな部活あるんだ。」
「うん。それで、その活動中に来栖を見たんだ。」
「………………………。」
「花壇の花が踏まれてて。俺、直そうと思って外に出たら、そこに来栖がいたんだ。」
来栖が黙ってるから、なんか顔見られない。ずっと、お茶を見てる。
「来栖、花を直して。キチンと直して…………、笑ったんだ。
初めて見た、笑顔だったんだ。
友達と一緒にいるとき、確かに来栖笑ってるんだけど、違ったんだ。
上手く言えないけど、何か一線引いたような…………そんな感じ?
とにかく、初めて見たんだ。見た気がしたんだ。来栖の本当の笑顔。」
「……………。」
最初のコメントを投稿しよう!