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「……結構、長く話を聞いてたんですね」
みわさんを見て、私は苦笑いを浮かべた。
「だって、二人の話が懐かしくって。私はこの二人の恋愛を見守って来たのね…
な~んて、お姉さん気取りで思い出に浸ってたのよ」
ガサガサとビニールの音を立て、みわさんが買い物袋からビールとソースを取り出す。
「みわさんと慎ちゃんには、本当にお世話になりっぱなしだもんな…ね、唯」
「ん?私もあの人も若い人達の話を聞いて、自分の過去を思い出したり、経験談を伝える事で楽しんでるからいいのよ。私達にとっては、それが若さを保つ秘訣なの」
みわさんは軽く首を傾げ、にっこり笑う。
「慎ちゃん、乃愛ちゃんが産まれて落ち着きましたよね~」
「落ち着く?…女関係のこと?」
「うん。ほら、慎ちゃんって浮気性じゃない」
直人とうちわを叩き、火を起こしながらビール片手に大笑いする慎ちゃんに視線を向けた。
「さぁ~、どうかな。浮気癖は性質だから、男として機能しなくなるまで続けるんじゃない?」
みわさんも慎ちゃんの姿を眺め微笑む。
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