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「性質だからって!みわさんそれで良いの!?」
私は視線を慎ちゃんから外し、信じられないほど落ち着き払うお姉様をまじまじと見つめる。
「だって、その性質も受け入れてなきゃ一緒になんていられない。添い遂げる覚悟ってやつね。子供がいたら尚更だわ」
みわさんはいつもと変わらない、柔らかな笑顔を見せる。
「ちょっと…みわさんの話、相変わらず大人過ぎて強烈なんですけど」
唯は見開いた目をパチパチと大きく瞬きさせる。
唯の表情を見て、みわさんは更に言葉を続ける。
「あの人は…女に夢をみさせない人だから大丈夫。自分も夢は見ない。帰ってくる場所は、必ず私と乃愛の所よ」
「…女に夢は見させない?」
私は首を傾げ、その言葉を繰り返した。
「そう、不誠実の中の誠実…って分かる?」
「……」
私と唯は黙って顔を見合わせる。
「不倫の関係の場合、言葉で女の心を束縛することほど残酷なものはない。『愛してる』『離したくない』例え本当にそう思ってたとしても、男は決して口に出してはいけないのよ。それが不倫をする男の責任」
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