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「えぇ~!何で?行きなよ~もったいない!」
私は目を丸くし、唯の顔を覗き込む。
「もったいないって何だよ」
唯は私の顔を見て笑い飛ばす。
「だって、水島先生も来るのに?こんなチャンス二度とないかも知れないよ?行きなよ~もったいない!」
私は『そんなのつまんない!』を露わに、口を尖らせる。
「そう言う綾子だって行かないんでしょ?奈美からの情報だと、結城先生、出席でハガキ来たらしいじゃん」
「だって、私は行っても飲めないし。和馬とはもう会わない方がいい。…あのパーティーで会った時、そう思ったから」
唯から視線を外し、小さく笑った。
6年前…
翔太との結婚を控えていた私は、病院の創立記念パーティーで和馬と再会した。
交わした言葉は、本気なのか冗談なのか分からない様な、和馬からのデートのお誘いだった。
戸惑う私は精一杯の余裕の笑みを作り上げ、きっぱりと誘いを断った。
思いがけない和馬との再会。
正直…
彼の顔を見た時、心臓がドクンと大きな音を立てた。
あの頃の彼への愛しさ、胸の痛み…
それが、一瞬にして蘇った。
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