甘いkiss…苦いkiss エピローグ

9/15
前へ
/17ページ
次へ
唯の話によると、水島先生から4年前に一度だけメールが来たことがあるらしい。 メールには先生の娘、凛ちゃんが、オレンジ色のワンピースに麦わら帽子を被って、無邪気に笑う写真が添付されていた。 「なんか、罪悪感あるよね…奥さん、私の娘と自分の娘が同じ名前って知ったら…」 唯はそう呟き、複雑な表情で苦笑いを溢したのを覚えている。 「その恐怖感は、本当に守るべき者ができないと、分からないんでしょうね」 私と唯の沈黙を破る、落ち着いた声色。 私と唯は目を丸くして同時に振り返る。 「みわさ~ん、ビックリするじゃんかぁ~」 私は大きく息を吐き、胸を撫で下ろす。 「いつから後ろにいたんですか?」 唯がみわさんを見上げる。 「え?『違う未来を見たかった』…あたりかな?遅くなってごめんね。はい、ビールの追加と、忘れ物のソース買って来たよ」 みわさんは微笑み、買い物袋をテーブルに置いた。 気品に満ちたオーラを放つみわさん。 40代半ばで初めての出産をした彼女は、母になっても相変わらず美しい。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

661人が本棚に入れています
本棚に追加