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だけど店の外に、彼を待たせてある。
だから、早く行ってあげなければ……!
……重要な秘密、を知りたいのは山々なのだけど。
「……私、人を待たせてあるので」
と言った私は、足早にこの場から離れようとした。
でも突如、強い力で掴まれた腕に……身動きを失ってしまう。
「っんなこと言ってもいーのかね? 今日桐原と会ってんの、理紗は知らねぇーんだろ?」
またまたその人の言葉で振り返る。
……それって脅迫?
「あなた、理紗の知り合いなの?」
「そんなこと、どーでもいいだろ?」
私の問いかけには一切スルーするその人。
そのままその人に、「ほら行くぞ!」と有無を言わさず店の外に連れ出される……
ここの店は完全予約制なのか、店内には客の姿があまりなかった。
それに他の客の姿があったとしても数人だろうから、化粧室付近や入口に出口、擦れ違う人は殆どいない。
……だからこうやって、裏口へ連れ出されても誰にも気づかれないのだ。
「離してっ!」
「五月蝿ぇ、静かにしろ!!」
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