152人が本棚に入れています
本棚に追加
「理香ちゃん、久しぶりだな?」
馴れ馴れしくそう呼ばれて、私は目を見張った。
……森先輩?!
それは今1番会いたくない人で、これから先も会いたくない人だった。
忘れていた過去が蘇る。
木綿先輩のこと、自分のこと、麻衣ちゃんのこと。
そして海さんのこと。
……色々なことが頭の中を締め付ける。
「……っ、やぁっ!」
恐怖で足が竦んだ。
けどここで動かなかったら、これから起こる未来を変えることは出来ない気がした。
震えてしまった身体に、止まったままの足に、
脳に、手に、全てに喝を入れて、……逃げ出そうとした――……
でもそれは無駄な抵抗に終わって、すぐここへ連れて来た張本人に腕を掴まれていた。
「俺はマジでアイツが望むことなら何でも叶えてやりてぇーんだよ! こんな気持ちアンタには分かんねぇーだろ? 平気で妹の男に手を出す、最低女だし、」
最初のコメントを投稿しよう!