彼女の想い

3/21
前へ
/40ページ
次へ
キラリと光る2つの瞳が、私を捉えて離さない。 その瞳が、言葉を失った私の心臓を突き刺してくる。 ……まるで、金縛りにあったみたいに、動くことが出来なかった。 「……っ!」 「知りたいんでしょ? ……この痕が、本当にあるのかどうか」 と言った彼女が背中を向けた瞬間、視界にはっきりと焼きつくように映る、生々しい火傷の “傷痕” 。 うなじから、腰上あたりまで真っ赤になっている。 その痕から、簡単に想像できる出来事。 私は、こんな彼女から彼を盗ろうとしていたのだ。 ……すごくすごく、恐ろしいことに思えた。 けど自分の気持ちが止められなくて、いけないと分かっていながらも諦めきれなかった。 「ねぇお姉ちゃん。刹那から何を聞いたの?」 「……っ」 「どうせ、この秘密を喋ったのは刹那なんでしょ? けど覚えといて。あたし、アンタになんか刹那を渡すつもりないから!」 「理紗っ、違うのっ! 待って、私の話を聞いてっ」 彼女の瞳は、真っ暗闇に包まれていた。 憎んでるその瞳に恐怖を覚えた。 ……もしかして、私と刹那のことを疑ってるの? 私は必死に弁解を試みようとする。 けど、返ってくるのは残酷な瞳だけだった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加