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キラリと光る2つの瞳が、私を捉えて離さない。
その瞳が、言葉を失った私の心臓を突き刺してくる。
……まるで、金縛りにあったみたいに、動くことが出来なかった。
「……っ!」
「知りたいんでしょ? ……この痕が、本当にあるのかどうか」
と言った彼女が背中を向けた瞬間、視界にはっきりと焼きつくように映る、生々しい火傷の “傷痕” 。
うなじから、腰上あたりまで真っ赤になっている。
その痕から、簡単に想像できる出来事。
私は、こんな彼女から彼を盗ろうとしていたのだ。
……すごくすごく、恐ろしいことに思えた。
けど自分の気持ちが止められなくて、いけないと分かっていながらも諦めきれなかった。
「ねぇお姉ちゃん。刹那から何を聞いたの?」
「……っ」
「どうせ、この秘密を喋ったのは刹那なんでしょ? けど覚えといて。あたし、アンタになんか刹那を渡すつもりないから!」
「理紗っ、違うのっ! 待って、私の話を聞いてっ」
彼女の瞳は、真っ暗闇に包まれていた。
憎んでるその瞳に恐怖を覚えた。
……もしかして、私と刹那のことを疑ってるの?
私は必死に弁解を試みようとする。
けど、返ってくるのは残酷な瞳だけだった。
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