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でも彼女の言っている意味が分からない。
彼女の火傷に、彼も知らない真実があるの?
彼が話してくれたことが、全てではないの?
まだ彼の知らない何かがあるのだとしたら……彼に教えてあげたい。
「本当はあたしの火傷……刹那のせいじゃないの! だって、自分でやったんだからっ」
目を伏せた彼女は、その出来事を思い出すかのようにそう呟いた。
――“自分でやった”。
私の耳には、その一言だけがこびり付いて離れない。
衝撃のその新事実。
受け止める術を知らない。
「理紗、嘘なんでしょ?」
驚きのあまり、私は思った言葉を口にしていた。
だってどこの誰が、自分のカラダを傷つけると言うの?
何のために、彼に嘘を吐く必要があると言うの?
……何のために、そうまでして彼を縛り付ける必要があると言うの?
何のために、何のために、何のために
……好きな人を、騙したの?
「どう思われようとそれが事実なの! 本当は刹那はちっとも悪くないのよっっ!!」
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