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ソファーから立ち上がると、力強くそう言う彼女。
自分の思いを何かにぶつけるみたいに、叫んでいる。
「……どうして、そんなこと?」
「お姉ちゃんには永遠に分からないよっ! お姉ちゃんは昔から出来のいい優等生で、あたしが交通事故で両親を亡くして、あの家に拾われた時だって、笑顔で迎え入れてくれたっ!」
「……それは」
「悔しくないの? 他人だったあたしがアンタと同じように、両親の愛情を注いでもらっていたんだよ?!」
その時、彼女の……理紗の想いを初めて聞いた気がした。
初めて彼女が家にやって来た日は、大雪が降っていた。
親戚のおじさんとおばさんの突然の交通事故。
親戚の家を転々とタライ回しにあった彼女は、やがて県外で遠く離れた私の家にやって来た。
初めはオドオドしていて、食事すらまともに摂ろうとしなかった彼女。
だからお父さんとお母さんは、彼女に元気になってほしくて “養女” という選択を出したんだと思う。
それについて両親に相談を受けたけど、私はもちろん大賛成だった。
だって……彼女ともっと仲良くなりたかったから。
だから、私が出した条件はただ1つだけだった。
彼女を “理紗” って、名前にしてもらうこと。
そしたら、本当の姉妹になれるかもしれないと思ったの。
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