35人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、この町を救わねばならない。
だが、いくら甘い露(つゆ)で満たしても人の心は満たしきれることは無い。
無限とされる、人間の可能性…ゆえに求めることにも際限というものが無いのだ。
人は己を満たすために戦い続け…結果、勝ち取る者と敗れる者がいる。
敗れた者は勝利を求め、さらに弱き者に刃を突き立てる。
哀れなる私の町の防人(さきもり)。
彼女たちは無限の権力を持ちながら、人間であるがゆえ決して満たされはしなかった。
防人として生まれたばっかりに…家を絶やす事を許されない。
人を愛する事が出来ない…普通の人間に陰陽師の敷居をまたぐ事は出来ない。
陰陽師は闇から人を守る一族…その秘密と存在を守るために。
本当に下らない理由だった…どんな最悪の人間でも、陰陽師は陰陽師と契りを交わさなくてはならない。
今世は無能な豚と契りを交わすらしい…それが能力者の一族の宿命なのだ。
彼女たちはあらゆる汚れ仕事に手をつけた…自分たちの痕跡を消すために、死した人間の生を辱めたこともある。
彼らに光は無い…満たされる事が出来ない。
これでは幸せになれない…満たされることは無い。
彼女たちと私は、この町を背負っている。
だから、私は…!
最初のコメントを投稿しよう!