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それはともかくも、奈美や見張りは信久の意見には乗り気じゃなかった。
「あなたは何をしに来たんですか?
そもそも、このゲームセンターが停電を引き起こしたらあなたが客を連れて…。」
見張りがバレないように作戦を説明するが、信久は首を振る。
もちろん、配電をぶち抜くという意味だ。
「夜中じゃ周りはみえないよ。
恐怖で動けなくなって、固まるのがオチだ。」
実のところ、暗闇にするのは危険だ。
奈美がさらわれる危険がある。
むしろ、信久はそっちの方だと思った…見張り君は敵なのだから。
閉店時間にももちろん電気は消すだろうが、その前に店員を黙らせる。
このあたりは臨機応変だ。
「停電は起こらないよ。
楽しんでいればアクシデントもね。」
確信を抱いたように信久は見張り君をゲームに誘う。
てか、怨念が詰まったゲーム機の前でよくも楽しげにゲームが出来るなこいつは。
風音といい、裏に生きる人間は本当にタフだ。
ちょっぴりうらやましい。
「バカですか。」
…結局、最後まで了承してくれなかった。
ついに見捨てられた気もするが…見張りなので離れない。
ややあって、信久のオゴリで数ゲーム楽しみ…いくつかカードを手にする頃には客がまばらになってきた。
夜中の12時までかかった。
実際のところ、信久がホフヌングバトルをしたかったので早めに来た疑惑も捨てきれず。
しばらくして閉店時間になるや店員を黙らせて、本来の作業に入った。
「見張り君、外でたむろってる人たちを眠らせて。
奈美は電源を少し落として…ゲームセンターは目立つから。」
いつしか信久が仕切っている。
本当に楽しげだ。
「はい。」
それぞれ指示通りに動く。
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