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「…っ!」
親から見てもやっぱり邪魔なんだな…禍つの明海は。
吹き出すのをこらえ…十郎太は言葉を紡ぐ。
「私など、未だ若輩者。
せめて正式な成人の日まではご遠慮差し上げたく…。」
「そんなことを言っていると機会を逃すわよ?」
律乃は明るく話を進めた。
「ついでに風音ももらってしまいなさいな。」
思わずそばにある茶碗をひっくり返しそうになった。
いくらなんでも両方は駄目だろう…腹を痛め、血を分けた娘たちを何だと思っているのだ。
しかし、桜規も乗り気だ。
「血統上、陰陽師の血脈になれる者は少ない。
妹の婿も見つかるか分からんのだ。」
見つからんとしたらアホ極まりない性格のせいだ。
それと、血統を守るしきたりのせい。
超能力者の世界は面倒くさい。
「…その点に関してはまた後ほど。」
十郎太は、ダメ元で考えを述べる。
アイデアは全く考えてはいないわけではなかったが、こればかりはかなり大規模に事を運ばねばならない。
「そうもいかないんだがなぁ…盤洞さんの計画も当てにはならないし。」
「計画?
ホフヌングとかいうゲームのことでしょうか?」
あらかた分かっているので確信を得て問いかけられる。
桜規は酒を口にする。
娘二人が禍つに堕ちたらしい状況上、飲まないとやっていられないらしい。
家が潰れるから。
「ああ…町の人間を超能力者にする計画だ。」
秘密にする必要もないので、そのまま話す。
「とはいえ、潜在的な超能力者はそうそういなくてな…仮に見つかっても尊栖坂のレベルには足りない。」
尊栖坂は神の一族だ…逆にそうそう見つからんだろ。
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