供養

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その後、盤洞重役に連絡をしたが…研究がたてこんでいるから遅くなるの一点張りだった。 現在地を教えないがおそらく蘇江沢のラボだろう。 もともとそっちに戦力を集中するべきだと思う。 尊栖坂の本陣は守りが固い…対怨霊の結界もあるのだし、ノウムがいなくても無駄に攻めるのは愚策だ。 だから風音を弱らせなくてはならないが…なかなか弱らなかった。 同時進行で風音の魂をサンプルにした怨霊のための血清まで作ろうとしているが…なにぶん強すぎて使えない。 だから怨霊に似たようなものの禍つ魂を利用しようとしているのだが…アレを薬にするのも気が引ける。 しかし、タンジーの中で発言力を上げるにはそれぐらいの成果はあげねば駄目だ。 十郎太の目的はタンジーへの忠誠ではなく尊栖坂への復讐だ。 彼が見るに、タンジーは長の器ではない。 借り宿でしかないのだ…生命をもらっても。 「とりあえず、計画を無断で一部変更しましょうか。 おそらく蘇江沢のラボに盤洞重役はいます。 こちらでも戦力は出せますが…きっと兎素さんはそちらに向かうでしょう。」 電話を切ると、多少不機嫌な表情になる。 奈美の動きを読む本家。 「え゛っ? ホフヌングを調べるんじゃないの?」 風音は奇妙な事の成り行きに驚いた。 「私も彼女も互いを信用していませんよ。 きっとこの機会に蘇江沢夫婦を人質にされると思っているんでしょうね。 とはいえ、こちらに蘇江沢夫婦を捕らえるメリットは少ない…人質にするならあなた一人で十分です。」 風音と蘇江沢夫婦…重要性なら風音の方に決まっている。
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