一四年前

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 警察に捕まった犯人に対しては、当然のように死刑にしろという声がわき上がった。  犯人だけでなく犯人の家族も、プライバシーなんてものと無縁になった。  当時二歳だった和美も、ほぼ毎日カメラにさらされた。そして、まだ二歳の少女がカメラに向かって泣き叫ぶ姿ですら、正義を実現するための当然の行動と誰もが思った。  どこに行こうとカメラがついてくる。  どこに逃げようと誰かが待ちかまえている。
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