一四年前

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 その迷いを断ち切ったのは、西園寺祐司がテレビで語った一言だった。  「あの事件の犯人の娘もうちの和人と同い年です。もし、息子と同じ学校に入ったとしても、それでどうこう言うつもりはありません」  その言葉をきっかけにして、学校は和美の入学を決めた。  ただし、あの事件の犯人の娘が本当に入学したとは言わなかった。  知っているのは学校の中でもごく一部の人、そして、和美本人だけ。たぶん、和人も知らないはず。
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