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一瞬の沈黙の後、アリは手に持っていたコーヒーをテーブルに置いて口を開いた。
「確かにそうだ。でも僕はもっと君のことを知りたいな」
「なにか知りたいの?」
「そうだな。例えば、君はなんでルガーノにいるのかとか。ジゼル」
「休暇で遊びに来たの」
「いったいどこから?」
「鉄道ではるばる」
「飛行機とかは?」
「鉄道乗ったことなかったんだもの」
アリは思わず笑ってしまった。可愛らしい。
「でも疲れただろう。僕のうちに来る?宿やホテルよりリラックス出来ると思うよ」
「遠慮するわ。あなたが何者なのかわからないから不安だし」
連日の旅に疲れたミラナにとって、アリの提案は魅力的なものだったが断った。
「そうか。まあこの街を楽しんでくれ。素晴らしいところだから」
そして2人はこれ以上お互いのことには触れずに美しい街、ルガーノについての話を続けた。
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