第1話

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一瞬の沈黙の後、アリは手に持っていたコーヒーをテーブルに置いて口を開いた。 「確かにそうだ。でも僕はもっと君のことを知りたいな」 「なにか知りたいの?」 「そうだな。例えば、君はなんでルガーノにいるのかとか。ジゼル」 「休暇で遊びに来たの」 「いったいどこから?」 「鉄道ではるばる」 「飛行機とかは?」 「鉄道乗ったことなかったんだもの」 アリは思わず笑ってしまった。可愛らしい。 「でも疲れただろう。僕のうちに来る?宿やホテルよりリラックス出来ると思うよ」 「遠慮するわ。あなたが何者なのかわからないから不安だし」 連日の旅に疲れたミラナにとって、アリの提案は魅力的なものだったが断った。 「そうか。まあこの街を楽しんでくれ。素晴らしいところだから」 そして2人はこれ以上お互いのことには触れずに美しい街、ルガーノについての話を続けた。
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