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アリと別れたミラナは博物館へ留めっぱなしになっているマイカーに向かった。
ポルシェはなんの変わりもなく目の覚めるようなイエローに包まれてそこにあった。
後部座席に乗り込む。
ミラナは運転席との境にあるスライドを下ろしてヒールを脱いでから寝転んだ。
後部座席の窓にはスモークが貼ってあるので、これで外からは見られない。
確かめた腕時計は2時半を指していた。
ーーどうしようかな。お城。
この後の予定だったが今から行くと、帰りは遅くなってしまう。
でもこのままホテルに帰るにはちょっと早い。
ーーどっちにしろホテル、帰りたくないなぁ
そしたらこのポルシェ返さなくちゃいけないし。
というかこの車の盗難届は出されているのだろうか。
ーーよし。
思い立ったが吉日。ミラナはパソコンを開き、ものの十分で警察のデータに侵入した。
そこには膨大な量の情報があり、そこから一つのデータへとたどり着く。盗難届リストだ。
スイスのルガーノでは、今日一件の盗難届が出されていた。
ミラナはさっさとそれを消去して、盗難届が出された事実事態をなかったことにした。
ーーこれであとはホテルに戻らなければ、持ち主に見つからなければオッケーね
ーー残る問題はお城だけど、やっぱりちょっといってみるかな。日が落ちればライトアップされるし、それ見たい。
ミラナは晴れやかな笑顔を顔に浮かべた。
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