第1話

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困ったミラナは少し考えると左へ折れる道を選んだ。 駅の地図と自分の現在地は把握しているので、だいたいの検討をつけたのだ。 幸い改札と出口の広場の距離は近い。 ミラナは従業員に会うこともなく、短いひと時を楽しんだ。 外に出るとそこはまだ駅構内だった。 ただし出口の広場の片隅で、ピッタリ自分の感があたったミラナは誇らしげだ。 さて、このあとどうしようか。 実は今の今まで何も考えていなかった。 さっきまでは出口の事しか頭になかったし、長い列車の旅の間も、とりあえずスイスに向かおうと思っていただけだった。 腕時計を見ると午後5時。 あたりはまだまだ明るいが今日はもう休みたい。 タクシーを拾ってどこかホテルに行こう。そう思ったミラナは駅の外へ出た。
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