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朝日の明るさを感じて目が覚めた。
ヨーロッパの夏は、昼間こそ暑いが朝は冷んやりとしていて肌寒い。
時計は8時を指していた。
どうやら昨日はそのまま眠ってしまったようだ。
ホテルを探し、チェックインをして夕飯を食べたところまでは良かったのだが、部屋の中を一通りチェックしたあと力尽きてシャワーを浴びずに寝てしまった。
盗聴器やらは見つからなかったので安心して眠りにつけたのだが。
しょうがないので軽くシャワーを浴びた。
終えると裸のまま、部屋に備え付けの電話を取ってフロントにかけた。
思いついたのは朝食のルームサービス。
ここは街の中心部の大きなホテルなのでルームサービスがついてるはずだ。
これでよし。
ミラナはさっさと服を着て髪を乾かし始めた。
ミラナの髪は腰まで伸びるブロンドだが、ところどころに茶色が混じっていた。
彼女の瞳は深い青だ。
部屋のチャイムが鳴った時、ミラナの髪はすっかり乾いてとかされているところだった。
「はぁい」
ドアに駆け寄って開けると、テーブルクロスをかけたワゴンの脇ににこやかな笑みを添えたボーイがたっていた。
挨拶したボーイはそのまま部屋へワゴンを押して料理のお皿を並べ始めたが、その沈黙に業を煮やしたミラナは彼に声をかけた。
「あの、聞きたいことが」
「はい、もちろんです」
「…ルガーノへは始めて来たのだけれど、どこかいいところはある?」
少し情報収集。
「それでしたら美術館巡りはどうでしょう。数々の貴重な作品が揃っているのでぜひ楽しんで頂けると思いますよ」
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