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美術館か…そんなに面白いのはなさそうなんだけどな…
幼い頃から美術品をさんざんみて来たミラナはその提案にあまり乗り気ではない。
ミラナの険しい表情を見て、優秀なボーイは他のアイデアを出した。
「ここから少し山を登ると17世紀頃の古城もありますよ。こちらも観光客の方々に人気ですね」
「お城…!」
ミラナの目が輝いた。
ボーイは顔をほころばせて話を続けた。
「はい。この古城は17世紀に王族が造らせたもので長く別邸として使われておりましたが、二百年程前にある貴族の所有となってから、最近では一般公開もされているみたいですね。庭園と舞踏会の広間がご覧になれます」
「それは素敵ね!」
「小柄でとても美しい城ですよ。余談ですが、当時この城を建てたとされる王族の遺品が集められて展示もされています」
「そうなの。それはどこで?」
「たしかエノワーセ博物館だったと思います」
「エノワーセね。ありがとう!行ってみるわ」
「いえ。では、楽しんでいってらっしゃいませ」
にこりと笑って彼は続けた。
「お食事後、食器を下げにまいりますのでフロントまでコールをお願い致します」
もうすっかりセットを終えていたボーイは、ちゃっかりチップを貰って帰って行った。
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