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けれどさすが王族というか、見た目は派手でキラビラやか。数も多くてとても豪華だ。
それらはガラスのショーケースに納められていて、開けたら警報が鳴るようになっている。
だが古い建物だ。火災時に部屋からまるごと酸素を抜くような設備はないだろう。
展示室はそれぞれ生活、絵画、彫刻、衣装などテーマに分けて区切られていた。
ミラナは順に見ていき、最後に装飾品の間に入った。
あの日系人の団体はもういない。
ところが、何か有名なものでもあるのかある一箇所に人が群がっていた。
それはこの扇の形をした部屋の中央。他にも様々なアクセサリが並べられているのだが、人々の関心は中央にしか向けられていないようだ。
ミラナは特に見たいとも思わなかったので、他の品に目を向けていた。
化粧道具、髪飾り、ネックレス、イヤリング、ピアス、ブレスレットからアンクレットまで。
どれも高価な宝石がはめられていて細工も凝っている。
17世紀はヨーロッパ王朝が最も栄えた時代だ。
その中で一点、気になるものを見つけた。
指輪なのだが、他の品と違って極端にシンプルなデザインだ。ただルビーとそのカットから、間違いなく高価なものだとわかる。
説明書きはなく、疑問は増えるばかりだ。
なぜこれだけ異なるデザインなんだろうか。
「キレイ……」
だがその美しさは一目見た瞬間からミラナを惹きつけて離さなかった。
しばらくして、コツコツと近づいてくる足音が聞こえたが、宝石に釘付けになっているミラナはたいして気に留めていない。
足音の主は突然話しかけてた。
「気になりますか?」
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