0人が本棚に入れています
本棚に追加
驚いて振り返ると、背の高い男の人がクスクスと笑いながら立っていた。彼のブロンドの髪がはらりと顔を隠す。
「とても熱心にご覧になってるみたいだけど」
顔をあげた彼は驚く程美しい顔立ちをしていた。そのブルーアイに吸い込まれそうになってしまう。
「…えぇ」
ミラナは努めて冷静に返すと彼を素早く観察した。
いいスーツに腕時計と革靴。どこかのお金持ちのお坊ちゃんだろうか。
「この指輪はブリリアントカットみたいですね。とても見事だ」
宝石についての教養もある。
ミラナはいどむように言った。
「オールドマイン・ブリリアントカットだと思うわ。当時最先端で流行だったカット」
「でもルビーを指輪にはめるなら、エメラルドカットもよかったかもしれない」
「私はこれが好きだけれど」
初対面の男にいきなりつっかかられるなんて。
ミラナが軽く睨むと、男はふわりと笑った。
「君の話をもっと聞きたいな。ぜひランチをご一緒してくれませんか?」
「よろこんで。ちょうどお腹が空いてたところ」
この男の正体をあばいてみせようじゃないの。
楽しい休暇になりそうだわ。
ーーそれに………こんなかっこいい男の人に誘われたら断れないに決まっているしね。
最初のコメントを投稿しよう!