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鳴海家で“優秀”ではない私は鬼と対峙する時はこういったモノを使わないと戦えない。
『お嬢。まだ人間に近いですが油断なさらないように』
「……知っている」
この“仕事”をしだして油断したことはない。
油断は即命にかかわる。
私は呪文を唱えつつ、霊符にキスをする。
ぎむ、と。
空間が軋んだ。
“鬼堕ち”の女は地面を蹴り、私に突っ込んでくる。
空中に佇むリクヤより私のほうが殺しやすいと思ったのだろう。
赤い月の下、女の姿が加速する。
「――炎よ――」
私が放った霊符から炎が渦巻き、闇を舐める。
女は身を横にずらすけど完全に避けきれずに右足を焼いた。
「――――っ」
声にならない絶叫をあげし、バランスを崩す女。
私は女に向けて走り、呪文を口にする。
目の前に持ってきた霊符にキスを落とし――
「――強――」
体を強化し、強く地面を蹴った。
起き上がる女の頭にキックをヒットさせる。
嫌な音が響き、女の頭がありえない方向にネジ曲がる。
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