アマネ【その一】

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「――炎よ、舞え――」 霊符が燃え、蝶の姿をした炎が二匹、闇夜を照らす。 女は肉を焼かれても怯まず、私に掴みかかろうとする。 爪が私に迫る。 避けた私の服の胸あたりを爪が裂いた。 血が舞うことはしなかったけど白いブラが少しだけ露になる。 『うむ』 リクヤは何やら小さく呟いている。 『ちまい』 「ブッ殺すわよ、リクヤ!」 『おっ、いまだかつてない殺気が。それを“鬼堕ち”に向ければ余裕で勝てそうですね』 それは無理。 殺気の質が違うからだ。 「あなた、帰れ」 『それはできませんねー。俺の役目は――』 「ただ見ているだけなら必要ない」 リクヤと不毛(?)な会話をしている間も女は私に襲いかかる。 肉薄はそれほど不得意てはないけど相手は異形の者、まともにぶつかるわけにはいかない。 爪が空気を引き裂き、私を追いつめる。 私は屋上の端に立った。 『お嬢。そこにいたら逃げられませんよ?』 リクヤの呆れたような声。
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