アマネ【その一】

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鬼限定に特化した力……それが私の家系に、血に宿っている。 何も人間に害をもたらすのは鬼だけではない。 人間が気づかないだけで妖もいる。 今から千年以上前、妖が日の本の国を我が物顔で存在していた時代から。 私の一族は時の陰陽師を助け、鬼を退治していたらしい。 私の先祖は教科書に載るくらいに有名らしいけど、私は興味ない。 “これ”は呪われた“力”。 この“力”があるから私はこんな生活をしている。 それは子供の時から。 はじめは両親のお手伝い。 両親の仕事を見てから色々と覚えた。 そして今は一人前の退鬼師として、お目付け役と二人で仕事をしている。 退鬼師の仕事は二人でしなければならないというのが昔からの決まりだ。 私は赤い満月から視線を外し、別の場所を見た。 何もない上空に佇む、一人の青年。 守 リクヤ【まもり・りくや】……それが彼の名前。 そして私のパートナー――というより、お目付け役であるが、どちらかというと“監視役”に近いかもしれない。 私の行動一つ一つを鳴海家現“長”に告げるのも彼の仕事の一つ。
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