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それなのにリクヤはそばにいる。
子供の時から……ずっと。
鳴海家の“長”になれない私のそばにいてもいいことないのに。
どれくらい時間が経過したか、リクヤはゆっくりと目を開けた。
切れ長の、落ち着いた感じの双眼。
彼は唇を震わす。
私の位置からだと彼の肉声は聞こえないけど、確かに耳に届いた。
耳に装備している、小型のイヤリング型通信機から。
『アマネお嬢。気をゆるませすぎです。仕事の時は集中、そうしないと死ぬことだって』
「分かっているわよ。リクヤ、口うるさい」
私はうんざりだ。
最近のリクヤは“おとん”かというように口うるさい。
家でも学校でも顔を合わす機会が多いので、精神的ストレスで参りそう。
ちなみにリクヤは教師の免許をもっていて、私のクラスの副担任をしている。
私は興味ないけどリクヤはイケメンらしくげんなりするほど彼はモテ、なぜか女子生徒は私のことを快く思ってはない。
「説教を聞きたくないから、さっさと答えて。鬼はどこ?」
さっさと仕事をして帰るほうがいい。
『はぁ。言ってもいいですが、お嬢――おすわり』
「は?」
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