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「ケーキ、食べないとな」
私の涙がおさまると、創はそう言ってぐいっと手を引き私を起こしてくれた。
私はまだ少しくらくらしながらも、残りのケーキに手を伸ばした。
隣で立ち上がる気配がして見上げると、創がコーヒーカップを持って私を見下ろしていた。
「冷めたから淹れ直してくる」
キッチンへと去って行く創の後ろ姿を見送り、私はふっと息をついた。
パクリとケーキを口に入れると、とたんにケーキを食べた時の創がフラッシュバックした。
同時にさっきの出来事を思い出し、カーッと頬が熱くなる。
キスされただけ
少し身体に触れられただけ
それなのに
その熱に
どうしようもなく
すべて奪われる
理性も
意識も
留めようが
ない
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