12

14/24
前へ
/473ページ
次へ
「ケーキ、食べないとな」 私の涙がおさまると、創はそう言ってぐいっと手を引き私を起こしてくれた。 私はまだ少しくらくらしながらも、残りのケーキに手を伸ばした。 隣で立ち上がる気配がして見上げると、創がコーヒーカップを持って私を見下ろしていた。 「冷めたから淹れ直してくる」 キッチンへと去って行く創の後ろ姿を見送り、私はふっと息をついた。 パクリとケーキを口に入れると、とたんにケーキを食べた時の創がフラッシュバックした。 同時にさっきの出来事を思い出し、カーッと頬が熱くなる。 キスされただけ 少し身体に触れられただけ それなのに その熱に どうしようもなく すべて奪われる 理性も 意識も 留めようが ない
/473ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12580人が本棚に入れています
本棚に追加