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ふっと笑って創は私の髪を撫でた。
「何か聞かれたら俺に振れ」
「えぇ?」
「わざわざ答えてやる必要はない」
「…でも……」
「時期が来たらちゃんとこちらから発表する」
「創…」
「それまでは今まで通りにしていればいい」
私はこくんと頷いた。
会社というのは噂話の宝庫だ。
ちょっとしたことに、尾ひれがついて大げさなほどの噂になる。
私が異性と食事に行くのが苦手なことも、過去に噂になってしまったことに起因していた。
今回の創のことでもそうだった。
いつもならそんな噂など信じない私も、創のことには敏感になってしまうみたいだ。
きっとこれは甘えなのだろう。
今までの私なら、人になど頼らずに自分でなんとかしようとしていた。
それでもこれは2人の問題だから。
じっと見つめる創の目が、私にそう語っていたから。
私は素直に創に甘えようと思った。
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