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夕食の準備はやっと手伝わせて貰うことができた。
と言っても、創の手際が良すぎて私は呆気にとられるばかりだった。
「なんでそんなに料理上手なの?」
私は夕食を食べながら創に問いかけた。
「昔からやってたからな」
「昔から?」
「ああ。うちは共働きだったからいつの間にか家事は俺の仕事になってた」
「でも創、今は忙しいのに…」
「仕事が煮詰まると料理や掃除や洗濯をするんだ。そうするとまたアイデアが浮かんでくる」
「気持ちの切り替え?」
「そうだな」
創は笑ってそう答えた。
確かにじっとパソコンとにらめっこしていても、煮詰まってしまうとアイデアはなかなか出てこない。
そう考えていると、あれ?っと思った。
「創でも煮詰まるんだ」
「当たり前だろう」
「泉のように湧いて出でくるんだと思ってた」
「そんな訳ないだろう」
創は苦笑しながら返事をした。
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