12542人が本棚に入れています
本棚に追加
/473ページ
外に出ると役員用の車が停まっていた。
立石さんと一緒に乗り込むと、行き先を告げることなく車は走り出した。
立石さんは、車の中で新幹線の手配もしてくれた。
「驚いたでしょう？」
少し落ち着いた車内で立石さんが話しかけてきた。
「上山専務、ああ見えて愛妻家なんですよ」
立石さんは楽しそうに話しをしてくれた。
「昔は仕事ばかりの人だったんですけど、今の奥さんと出会ってコロッと人が
変わっちゃったんです。
だから、同じような人を見ると嬉しいみたいで」
あはは、と笑いながら話す立石さんに俺は頷いた。
「だから、幸せの邪魔をするような人は許せないみたいで」
「はぁ」
俺の気の抜けたような返事に、立石さんは驚いた顔をした。
最初のコメントを投稿しよう！