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俺は以前あったお見合いの噂話を思い出した。
「そうですね。気を付けます」
俺の言葉に、立石さんは笑顔で頷いてくれた。
駅に着き、俺は立石さんに礼を言って車を降りた。
早く帰れるようにと朝、ホテルをチェックアウトしてから荷物を駅のコインロッカーに預けにきていた。
改札を通ると、その荷物を取り出し予約してくれた新幹線に乗り込んだ。
先程聞いた永井の番号に電話を入れて、今向かっていることを伝え、ちぃの入院している病院を聞き出す。
座席に座ると俺は瞼を閉じた。
ここ最近、ゆっくりちぃと話せていなかったこと。
出張に出た日の夜、ちぃの声が掠れていたことを見逃してしまったこと。
どう考えても、自分に非があるとしか思えなかった。
俺は、後悔に苛まれてグッと拳を握り締めた。
何もできない自分が心底悔しかった。
今の俺にできることは、ただちぃの無事を祈ることだけだった---
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